詩
光あれ光が色をつくるのならば透明もまた色なのでしょう歩いた分だけ時が経つなら時間はきっと距離なのでしょう 遠ざかるほど広やかに遠ざかるほど鮮やかに遠近法は書き換えられてわたしの過去は今めのまえで空間をひらく光であった 空虚の器を光がみたすさ…
うわまぶたの裏側としたまぶたの裏側とに別々の風景が映っているまばたきをするたびにふたつの世界はおそるおそる触れ合い境界を引くはじけるように離れ、また触れ合う まぶたとまぶたが眠りに融け合うあいだ景色と景色もゆっくりと互いを侵食し合ううずまき…
かつてわたしたちだったいつか、わたしだった昨日わたしだったものたちが暗闇にひそむ 暗闇のひそみで沈黙しているしんだけものたちの気配ひっそりとまぎれて息を詰めてみてもしんでいないわたしのための場所はここにはない しんだけものも ひなたに連れ出せ…